泉一貫楼が70余年の歴史を閉じた。一貫楼ロスで心にぽっかりと穴が空いた。
どれくらいの穴かというと、クラスのそんなに可愛くもなく目立たないフツーの女の子が転校してしまった感覚に近い。いつも見えてたはずの彼女の何気ない笑顔だったり、ふと見せるもの悲しげな表情、決して彼女のことを好きなわけではない。ただそういう日常がなくなる喪失感はボディブローのように効いてくる。灘郵便局の帰り道「大石一貫楼」の暖簾をくぐる。大阪万博の年に開店したというからかれこれ半世紀。灘区内に5軒ほどあった一貫楼もついにここだけになってしまった。僕にとってラーメンは特別なものではない。なので並んで食べたりわざわざ遠くまで行ったりする気はない。自分の住んでいるフツーの街にフツーのラーメン、いや中華そばがあるということだけでハッピーな気持ちになれる。細目の麺、細目のもやしに薄めの焼き豚、鶏ガラだしと炊き醤油を合わせたスープという絶妙のフツーなバランス。素材がどうののこだわりがどうのというおどしも媚もない、店構えも接客も声高に叫ぶことなくただただフツーで丁寧。そんなフツーの中華そばがある街に住めることに感謝したい。
大石一貫楼「Aセット」
●場所
神戸市灘区鹿ノ下通2-3-10
●本日の昼ごはん
・ラーメン
・炒飯(小)
700円