「冷やし中華はじめました」盛夏の中華料理店の壁に貼られた張り紙が恨めしい。いや冷やし中華が恨めしいのではなく、添えられたキュウリが憎い。一かけでもキュウリが載っていると、そこからキュウリ臭が広まって全体をダメにしてしまう。これを「青臭ったキュウリの方程式」と呼んでいる。芸能界水泳大会に例えるとアイドルの中に混じった青空球児みたいなものだ。今日はアーケードからでるのも億劫になるくらい暑かったので、アーケード内でツルっと冷たい麺を探す。灘センター商店街のlargoのランチメニューに「海老とかぼちゃの冷製スープパスタ」というのがあったので注文する。「こ、これは!」。運ばれてきた皿を見て思わず声が漏れた。オレンジ色のカボチャの冷製スープの上によく冷えたカッペリーニ、トマトと海老の赤、オクラとアボカドの緑が映える。まるで皿の上で榊原郁恵とアグネスラムがはしゃいでいるような溢れんばかりの夏感。しかも、しかもだ、あの憎っくき青空球児、いやキュウリがいない。夏だからキュウリ入れとけとか、彩りはキュウリで、みたいな三流芸能プロダクションのような安直な発想はない。
是非「冷やしイタリアンはじめました」と壁に貼ってほしい。
largo「海老とかぼちゃの冷製スープパスタ」
●場所
神戸市灘区倉石通2丁目(灘センター商店街)
●本日の昼食
海老とかぼちゃの冷製スープパスタ、サラダ
800円(税別)