昔三宮にあった「コスモポリタン」の奥にあったレストランのメニューに「コスモバーガー」というのがあった。パンとハンバーグが別々に出てきて自分でセットするスタイル(だったと思う)で赤いプラスチック製の爪楊枝に刺さったピクルスが添えられていた。とにかくオシャレ感と美味さが衝撃的だったのでこれが毎日食べられたら死んでもいいと子供心に思った。そんな私の心を見抜いたオカンが天気のいい日曜日に時々ハンバーガーを作ってくれた。いや、正確にはハンバーガーではなかった。当時は丸いパン(バンズっていうの?)なんか売ってなかったので、食パンにハンバーガーを挟んだハンバーグサンドだ。ミンチは灘中央市場の老舗、土居精肉店の合挽き、そして赤い爪楊枝にささったピクルスが添えられていた。当時ピクルスなんて元町の明治屋か神戸グローサリーズにしか売ってなかったんじゃないか?わざわざ買いに行ってたのだろうか。あれから40年以上経った。オカンとコスモポリタンはなくなったが土居精肉店は健在だ。5代目が土曜日と日曜日にときどきハンバーガーを始めるようになった。派手な演出も嘘くさい香辛料も一切ないシンプルな精肉店ならではの「ザ・ハンバーガー」を頬張る。五月晴れの王子動物園で食べたオカンのハンバーグサンドを思い出した。
土居精肉店「ミニバーガー、ベーコンチーズバーガー」
●場所
神戸市灘区水道筋3丁目5(灘中央市場)
●本日の昼ごはん
ミニバーガー 330円
ベーコンチーズバーガー 750円