開港150年に沸く(そんなに沸いてないか)10月、神戸港の片隅で摩耶埠頭はひっそりと竣工50周年を迎えた。もちろん派手なセレモニーなどなかった。かつて摩耶埠頭は世界とつながるユメのシマだった。コンテナヤードにはレゴブロックのように色とりどりのコンテナが積み重ねられ、埠頭を渡る風はゲイラカイトを空高く舞い上げた。小さなディーゼル機関車がコンテナを載せた重そうな貨物列車をけなげに引っ張っているのをぼーっと眺めるのは至福のひと時だった。時はすぎ貨物線は廃止され、コンテナも減り、9頭いた岸壁の赤いキリンも今や1頭だけになってしまった。シマには当時のミナトの香りが残る小さな食堂がある。「ピアハウス 摩耶1」という名前がつけられているが、通称「ローキュー」と呼ばれる港湾労働者休憩所だ。店は食券形式で一月分の平日日替わりランチメニューが壁に張り出されている。驚くべきことに本当に1日たりとも同じメニューがない。「マヤカレーセット」「150周年記念ビフカツランチ」も気になるが、今日は該当日ではないのでAセット。500円でおかずが二品選べるシステムだ。おかず1品のBセット(370円)もある。ハイカラなドミグラスではなくとんかつソースがかかったコロッケと煮物。たっぷりとよそわれたメシ。ハイカラという言葉ではくくれないリアルなミナトコーベの味だ。
ピアハウス 摩耶1「Aセット」
●場所
神戸市灘区摩耶埠頭
●本日の昼食
Aセット
・コロッケ2ケ、イワシフライ
・煮物(ひろうず、大根、高野豆腐、人参、しいたけ、つくね)
・ご飯
・味噌汁
500円